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一事を通してその最大活用法を会得させよ

公開日: : 人間教育, 子育て,

流行のいかんにかかわらず「物を大切にしてエネルギーを生かす」ということは、万古不易の宇宙的真理です。

ところで「物を大切に」ということには、二つの意味があり、それは言うまでもなく消費の節約であり、倹約の美徳です。

もう一つはそれによって、心を引き締めることです。

心を引き締めるには、どうしても身を引き締めるよりほかないように、心を引き締めるためには、物を控えるほかありません。

そしてこれは身・心相即の理であり、物・心相即としての「宇宙の大法」なのです。

そこで今日のように、物が豊かで流行の激しい時世には、よほど心を引き締めないと、商業主義の攻勢や、流行の誘惑にひきずられがちになりやすいのです。

そこで私たちとして大事なことは、それらの商業主義に対して、いかに抵抗するかということです。

それにはデパートやスーパーというものには、努力して近づかないように、ということでしょう。

特にそういう場所へは子どもは、できるだけ連れて行かないということが大切です。

わたくしなどのように、いい歳をしながら、物を見たら欲しくなるのが人情の常ですから、そういう場所へは極力近づかないことです。

 

ところで、今日のように過剰ともいえる物の豊かな時代に育ちつつあるわが子に「物を大切に!!」という躾をする事は、誠に容易な事ではありません。

しかし、やり方次第では、必ずしも難しいことではないとも言えましょう。

そしてそれには、何か一つの物にしぼり、何か一つのことを続けて、その物の最大活用を会得させるほかないでしょう。

例えば、小学一年生として入学の際のランドセルを、卒業の日まで使用させるとか、また短くなった鉛筆は、鉛筆差しにさして、短いギリギリになるまで使い、それを捨てずに1つの空き箱にでも入れて保存させるとか、そのほかいろいろなやり方、実例がありましょう。

そして、そうしたいろいろなやり方を考え出すのが、母親としての知恵というものでしょう。

 

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とにかく、教育ということは、一つのことを徹底して続けさせなくては効果を発揮しないものなのです。

しかもそれをまた、後に続く人に種まきすることが大事です。

そういう意味からは、六年生まで使用したカバンをお嫁入りの時にも持参して、やがてわが子の入学の際に見せる。

こうした種まきこそ何よりの教育というもので、ちびっ子エンピツ箱の場合も同様です。

また、話は変わりますが、亡くなられた父の形見の座机であるとか、また硯石であるとか、そういうものを大切に保存し、これを大切にすること。

その座机や硯石はたとえ大した品でなくとも、その物を通して、父の命に触れさすゆえんのものがあると言えるでしょう。

 

現在わたしは、七十七を境に単身未解放部落に入って「独居自炊」の生活をして六年になります。

その私が日常生活で一番心がけているのは何かというと、それは水の浪費を極力抑えるということなんです。

半ば無尽蔵とも考えがちな水に対してその恩恵、命の根源として、を忘れないためにも水の無駄遣いを極力切り詰めているわけです。

戦後シベリア抑留生活を余儀なく過ごされた方々の異口同音におっしゃることは、手桶一杯の水の値打ちを、体験上いまなお印象深く語られ、いまなお決して無駄づかいができないとのことです。

とりわけ我が国は水資源に恵まれた国で、それが現在世界屈指の工業国にまで発展した有力な原因の一つですが、それだけに我々はとかく、水の恩恵を忘れがちなわけです。

そしてこれはヨーロッパ、その他国外の地を旅行した人々の一斉に気づかれることのようであります。

ところでこれは、私自身、心中深く心に秘めて、元来人様に申し上げるべき事ではありませんが、最大活用ということでついでに申し上げますと、私は当年満83歳を迎える者ですが、残されたこの命を愛惜する念はいよいよ切実なわけで、与えられた「時」をギリギリのところまで最大活用したいという念いでいっぱいです。

もともと「人生二度無し」とは、わたくしの人生に対する根本信条ゆえ、いよいよ拍車を掛けて最後のゴールインへと念願しているわけで、水に対する心がけなども、いわばそれへの手始めの一つといってよいわけです。

 

そもそも我々人間は、自分の意志によらないでこの世に投げ出され、この命を恵まれている存在なわけです。

実際ただ一人といえども、自ら意思し意識して、この世に産まれてきた人は一人もないわけです。

しかも、また絶対に死を免れない我々人間には、「死」もまた万人に共通して絶対不可避の宿命なのです。

それゆえ我々人間は、自己に与えられた現実のもろもろ諸条件を、最大限に生かして、精一杯に生きる以外に、人間の真の生き方はないはずです。
それゆえ、わが子の「人間教育」と言っても、結局根本的には親御さん、特に直接の責任者たる母親自身が、

1.自己の務めを果たすために精一杯に生きるほかに手はないともいえるでしょう。

2.その上に、常にわが子の気持ちを察してやれる親となり、それへの手の打ち方を誤らない。ということでしょう。

そして最後に大事なことは、親御さん自身が、すべての人や物、さらには一木一草に至るまで、生きとし生けるものの中に宿る「命」を大事にし、それに心から合掌なさる敬虔な気持ちを養うよう、お互いに努力を重ねたいものと思います。

それには、まず神棚とか仏壇に瞑目合掌、そして礼拝ということを、一つの家風として存続して、墓参りなどには必ず子どもを同伴するようにぜひ今後も続けていただきたいものです。

「家庭教育の心得21 母親のための人間学」(森信三著)15より

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今の時代で言うと、モノは無駄にせずに、もったいない精神を子どもに植え付けようということですね。

この文章を見て思い出した事は、先日、息子の靴下に穴があいたんです。

新しい靴下を3セット購入していたので、もうその穴の空いた靴下を捨てようか、と妻から言われました。

ただ、この話を読んでいたので、裁縫で穴を埋めて、使おうと話をしました。

妻は、貧乏臭いという反応でしたが、私がモノは大事に使うことを教えたいと伝えたところ、妻も納得してくれました。

お下がりという習慣もありますが、それなどもモノを大切に使うことを教えるよい習慣かもしれませんね。

 

水、という話が出ていましたが、食事も食べるのが当たり前、となってしまっています。

親としは子どもを元気に、大きく育てたいと思うので、たくさん、食べさせようとします。

ただ、無理に食べさせようとするときもあるので、子どもは嫌がったりします。

そうすると親は怒る。子どもはいやいや食べる。

これが続くと、ご飯を食べるありがたみを忘れてしまうようです。

私の息子がまさにそうなりつつありました。

そこで夫婦としては息子が食べたくないという時には食べないでOKという風にしました。

前の記事の飢餓感という記事がありますが、それと同じで飢餓感を植え付けて、食事に対するありがたみを体感させないといけないなぁと思ったわけです。

まだまだ子どもは嫌がるときはありますが、割り切った態度をしていると、そのうち「ご飯食べる」と言ってきます。

食事のありがたみがわかったのか、あるいは、親に見放されるかもしれないという恐れなのかわかりません。

が、恐怖のほうだと問題なので、できるだけ愛情をもって距離感を保っていこうと思います。

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