父親を軽んじては我が子の「人間教育」はできない!!
我が子の家庭教育について、それでは父親はいったいどのような役割を果たすものなのでしょうか?
男というものは、大学を同期に出て一流会社に就職した場合、どちらが先に係長になるかということが大問題。
もし同期の者に抜かれるとしたら、その会社にいる限り、相手を抜き返すことはできないのです。
男の世界はそれほど厳しくて、凄まじいものなんです。
これはほんの一例ですが、この辺りのことが、近頃どうもわからん女の人が増えてきたようです。
もしこの辺りのことが女の人に本当によくわかっているとしたら、たとえご主人が横になってテレビを見ていても、子ども達に説明ができますね。
「お父さんのような男の人のお勤めは大変なんだよ。だからお父さんが帰ってきて横になるのはもっともなことなのよ」とでも言って子どもたちに納得させるのが、母親にとってはひとつの大事な務めなんです。
ところが、この辺りのことが少しもわからん奥さんの中には、「あんた!!子どものために、もう少ししゃんとしていられないの?」なんて無茶なことを言って平気でいる人が少なくない昨今です。
肝心の母親自身がそんな程度の甘っちょろい考えですから、我が子に朝のあいさつひとつ躾けることことができず、ハイという返事ひとつが仕込めないのも当然のことです。
要するに、母親自身が「ウチのお父ちゃん、もっとしっかりしてちょうだい!!」と言っているだけで、肝心のわが子をダメにするということがわからんようではどうにもならんわけです。
こういう浅知恵では、何が大卒と言えましょうか、何が家庭教育と言えましょうか。
まるでわが子に「父親軽視」の種まきをしているようなものです。
こどもに「父親軽視」を仕込んでおいて、子どもの人間教育なんて、全く笑止千万です。
奥さん方が、まずご主人を立てることによって、家の中心が立ち、この母親の態度によって、言わず語らずのうちに子どもがこれを学ぶわけです。
子どもに父親の仕事の内容とか、勤務先のつらさなんかいくら説明してもわかりっこありません。
わからそうったってそれは無理というものです。
ただ、母親が父親に対する態度いかんから、父親の偉さがなんとなく感じられるものです。
それほど父親というものは子どもにとって理解されにくい存在なんです。
ついでですが、父親の偉さが本当にわかりだすのは子どもが40を過ぎてからのことでしょう。
そして、真に徹底的にわかりだすのは、父親が亡くなってからのことでしょう。
それほど父親の世界というものは、子どもにとってわかりにくい世界なのです。
つまり「男」というものは、死ななければその本当の真価が子どもにわかってもらえない、という悲劇的な運命を背負っているわけです。
ですから、母親たるものは、なによりもまず男の世界のつらさをよく察し、主人がこれだけの俸給を得るために、どれだけ下げたくない頭を下げ、言いたくないお世辞をいっているかということが身にしみてよく分からねばなりません。
そうしてこそ、聡明な奥さんと言えるわけです。
それゆえ、皆さんがたも、どうぞわが子に対して「父親軽視」の種まきをしないように、くれぐれもお考えいただきたいのです。
こういうと皆さんの中には「そんなことをすると亭主関白を増長することになりかねない」と心配する人もいるかもしれません。
しかし、どんな事情があろうと「父親軽視」の種まきだけは絶対にいけません。
というのは、わが子が「父親軽視」になり、やがて「父親」に対する不信感に陥ると、わが子を根本的にダメにしてしまうからです。
中にはどうも私が「男」の肩を持ち、女性には厳しすぎるように受け取る方もいると思いますが、断じてそうではありません。
父親には、仕事の上ですさまじい生き方の模範を示してもらう必要があります。
一家における父親と母親とは、それぞれの分担が違います。
男というものは家族の生活を支える根本的な重荷を背負わされているために、一所懸命に終日駆け回らねばならぬ大責務があるわけです。
まるでオス狼と同じで、一匹の野うさぎを、相手と血だらけになって取り合いをした結果として奥様に俸給袋が手渡されるのです。
その俸給袋には男の見えない血と涙が点々とついていることをよく考えてもらいたいのです。
わが子の「人間教育」は90%まで母親の全責任と言っても決して過言ではないでしょう。
父親としては、自分の仕事に対して真剣に打ち込む姿そのものが何よりの教育と言えるでしょう。
従って、父親としては、何より自分の仕事に身を粉にしても全力で取り組むことこそ何よりの男の本分といっていいでしょう。
「家庭教育の心得21 母親のための人間学」(森信三著)3より
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時代が変わりつつある昨今なので、一概に森氏の言うことが正しいというわけではないですね。
ただ、これは母親父親に限らずの話だとは思いますが、夫婦がどちらかをないがしろにする、軽視すると子どもはそれを見て、同じ考え方をするのはほぼ間違いないと思います。
そういえば犬も、自分を含めた家族の優先順位を決めて、言うことを聞く人、聞かない人を選ぶみたいですね。
それと同じなのかもしれません。
家族が同志を信頼し合わずに、人間教育はできないと喝破されていますが、本当にほうだと思います。
親になると、本当に自分の人間力が試されし、人としての成長が大切だと身にしみます。
父親は外で血みどろになって戦っているという表現です。
中には、私のように?大して力を入れずに仕事をしている人もいるかもしれません。
でもそんな状況でも奥さんには、子どもにお父さんは一生懸命頑張っていると言ってほしいですね。
きっとそれを聞いたら、父として、社会人として、奮起するようになるのではないでしょうか。
父としては、一生懸命働いて、暮らしを安定させて、そしてその背中を子どもに見せることだけが、ほとんどできることなのかもしれません。
とにかく、仕事、頑張ろうと思いました。
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